言葉のラジオ

 「言葉のラジオ」荒川洋治(竹村出版)


キャラメルの文字」を読んでくださった方から、

メールで教えていただいた本です。

どうにかして、私がこの本を発見したことにならないか(←ひどい)

と、まじめに思ってしまったくらい素敵だったのでご紹介します。


詩人の荒川洋治さんが「日本語」や「ことば」をテーマに、

ラジオで話されたことをまとめたエッセイ集。


1996年発行の本ですが、

一冊まるごと「石井細明朝体縦組み用かな」で本文が組まれているのを私、

たぶん初めて見ました。


まさに「虫歯になりそう」! 

ああ幸せ。


ささいな、他人にはわからない小さな記憶に人生の真実がある。

はかないものこそ、かけがえのないもの

とか、

記憶も持ち物ではないかとぼくなどは思ってしまうのである。(中略)

言葉は道具である。でも言葉というものは、たとえそれが用済みになったとしても

ふつうのものとは少しちがう。

とか、あっと思わせられる文章が随所に散りばめられています。


列車に乗り合わせた女性が、細かく書き込んだ手帳を広げているのを見かけて、

「自分の仕事をふりかえっているのか、それとも、自分が書いた文字を眺めているのか」

と想像をめぐらせる「他人の文字」というエピソードや、

「食べ物以外のものを食べ物に例えてしまうのはなぜか」なんて、

私にとっては思わず苦笑してしまう考察も。


読んでいる間じゅうずっと、

この本のことを私に教えたいと思ってくださった気持ちが

贈りものみたいに伝わってきました。


その方は「石井細明朝体縦組み用かな」の印象について、

「大地に根をはったような安定感」と表現されていたのですが、

私もその感覚はすごくわかるような気がします。

土のなかの養分を吸収して大きくなる球根みたい。

冬の夜にぴったりの、栄養たっぷりの本です。



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