Happy New Year 2013

〈文字の食卓〉を読んでくださっているみなさま、

あけましておめでとうございます。


昨年は、このサイトを続けられたことももちろんですが、

たくさんの方々とご縁がつながった、

とてもうれしい一年になりました。


そうしてお会いした中には、

デザインや出版関係の方も多かったのですが、

いちばんよく言われたのは、

「(デザイナーじゃないのに)書体を見分けているなんてすごい」

ということ。


びっくりしたのは私の方です。


読者には見分けられないと思っているのなら、

どうしてこんなにもたくさんの書体が世の中にあふれているんだろう??


その中からどうやって書体を選んでいるんだろう?


そして、そのたびに、心のなかで、

少し申し訳ないような、

その言葉を言わせてしまったのは、

他でもない自分自身のような気持ちになりました。


職人がいい家具をつくりたいと思っても、

どんなに技術をみがいても、

その家具で生活したいと思うひとがいなければ始まらないと思うのです。


今は100円ショップでもそこそこのお皿を買える時代だけど、

長く愛着を持てる良い器で食事をする方が気持ちいいし、

同じ料理だってずっとおいしく感じるはず。


それと同じように、

おいしい文字を読みたい読者は、きっといるはずなのに、

その欲求に気づいていないとしたらとてももったいないことだと思います。


私は、ふつうのひとが「おいしい文字のある暮し」を大切にするようになってほしい。

誰にでもわかる言葉で、価値を見いだすことをやっていきたい。

自分がおいしい文字を読み続けたいから、そうしたい。


2013年の抱負といえるのかどうかわかりませんが、

みなさまとの出会いのおかげでそんなことを考えた年末でした。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。



たまには年越しを賑やかに過ごそうということで、

横浜でカウントダウンしてきました。

「除夜の鐘」ならぬ「除夜の汽笛」を聞きましたよ。



大晦日の中華街は爆竹や獅子舞で深夜もお祭り状態。

すごい迫力でしたー



徒然なるまま

鳥海さんのインタビューをアップしてから

一か月以上もご無沙汰でした。

皆さまお久しぶりです。元気です。


この一か月、いいことも悪いことも色々あって、

すこし新しいことを始めたり、

サイトの方はちょこっと休憩をいただいてました。

バランスよく同時進行できない自分がかなしい…。


文字まわりの出来事をいくつか。


先月、武蔵野美術大学で行われたシンポジウムで、

ついに! 写研の方にお会いする機会がありました!


詳しい事情はお話されなかったですが、

「書体の品質を保つために

どうしても時間はかかっているけど

(公開に向けて)ちゃんと少しずつ進んでいる」とのことでしたよ。


〈文字の食卓〉を読んでくださっていて大感激!!

うれしくてテンションがあがってしまい、

「写研フォント公開の際には勝手に『文字食祭り』をやります!」

と宣言しておきました(笑)


さらに、その帰り、

色々な偶然が重なって

途中の駅まで亮月製作所亮月さんとタクシーでご一緒することになり

お話できたのもうれしかった。

でも実は渋滞に巻きこまれたせいで、

私も亮月さんも結局その後の予定に間に合わなかったのです…

巻きこんじゃってごめんなさい亮月さん…。


うれしいサプライズだったのは

文字女子会?に呼んでいただいたこと!

私は緊張しておもしろいことのひとつも言えなかったけど

(いつもはもうちょっとしゃべるんですけど…)

いやはや、明るくてかっこいいお姉さまたちでございました。


というわけで、他にも話題はあったのですが

徒然な雑記ですみません。また書きます。

書体見本帳の方ももうすぐ再開しますねー。



広島に行ってきました。

尾道の猫。なにみてたんだろ?


東京セブンローズ

時間のあるときにしか読めないものをと思い、

井上ひさしの『東京セブンローズ』を読みました。


終戦前後の東京を背景に、

明るく、闊達に生きる市民の日常を日記文学の形式で細密に描いたこの作品は、

すべて旧漢字・旧仮名遣いでかかれています。

それに主人公の特技がガリ版だったりして、

文字好きの方には(たぶん)たまらない小説。

(ちなみに単行本の本文書体はモトヤ明朝で、

下町で団扇屋を営む一市民の日記という体裁にとてもよくハマっていると思います)


この一年、サイトを通じて、

日本語について自分なりに考える機会が前より多くなったことや、

終戦記念日の空気と相まって、

いやもう何だか、本当にこみあげてくるものがありました。


久しぶりにこの本をちゃんと読みたくなった理由でもあるのですが、

高橋一清さんという元文藝春秋の有名な編集者の方が最近出版された

『作家魂に触れた』(青志社)(すんごいタイトルです)という本の中で、

まさにこの『東京セブンローズ』を中心に、

井上ひさしとFAXで何度も交わした手紙が公開されています。


感動的なことが書いてあるわけでも何でもないのに

(いってみれば原稿の催促と、〆切に間に合わない作家のあの手この手)、

おふたりの細やかな日本語からにじみ出るユーモアと温かさに、

なぜか泣けてしまいます。


同じ言語を、同じように信頼している者同士だからこそ得られる幸福。


私もこんな素敵な手紙を書ける人になりたいなあ。



それにしても最近はあまりお目にかからないこの厚さ。


腕が疲れるくらい重いのですが、そのことを忘れてしまうほど

ずっと読んでいられるおもしろさ。

これがもし電子書籍だったら絶対に最後まで読みきれないと思うのは、

本というものの不思議でしょうか。


印刷局

先日のかまぼこツアーの続き。

なんで小田原に行ったかというと、

国立印刷局の見学に誘われて行ってきたからです。

なんかもはや書体とは全然関係ないんですけど(笑)

ひさびさの社会科見学、おもしろかったー



日本銀行券、いわゆる紙幣を印刷するために開発された専用の印刷機は、

凹版印刷と凸版印刷とオフセット印刷が

なんと一台でできてしまうという

まさに印刷技術の粋を結集したスーパー印刷機なんですって。

そんなんあるんやΣ(゚Д゚ノ)ノ


それに印刷(圧着?)したてのホログラムの美しさといったら!


中の写真撮影はできなかったですが、

なんとなくお金持ちの気分になる、おめでたい、もとい、楽しい見学でした。



おまけ。


小田原城にも行きました。



猫がたくさん



…ちゃんとお城をみなさーい

(猫が好き!)



プリかま


プリントかまぼこというのを作ってみました!


小田原の鈴廣「かまぼこの里」で作れます☆

http://www.kamaboko.com/shohin/purikama/


アルファベットの文字がサザエさん一家風に行進しているところを描いてみた(^_^;)



ほら、ちゃんと、かまぼこ。


こちらは一緒に挑戦した友だちの作品。

…先生! 素晴らしいです。




…紅白ありました笑


もじ部??

先日、字游工房の鳥海修さんに初めてお目にかかりました!
とても嬉しい出来事だったので、
ちょこっとだけご報告させてください。

字游工房は、あの〈スーボ〉や〈ゴーシャ〉の生みの親であり、
秀英明朝〉の写植化にも携わられた鈴木勉さんが
写研から独立されてつくられた書体メーカーで、
鈴木勉の本』を読んで以来、ずっとお会いしてみたいと思っていた方なのでした。

写研で写植の書体をつくられていたころのお話や、
字游工房の書体についても、
私の不躾な質問に、真摯に応えてくださって、
もうもう、これは「もじ部ですか?」っていうくらい、
私にとっては夢のように贅沢な時間でした。

文字におこしたら絶対おもしろいけど、
サイトには書けない話も色々あったような気がします(笑)

「この書体をみてどんなふうに感じる?」なんて、
何のテストですか!? みたいな場面もありましたけど、
鳥海さんから「超能力者(エスパー)」の称号いただきましたよ〜。

「游明朝体は何の文字とかあるの?」と聞いてくださったので
「○○の文字です」と答えたら、
「○○かー。○○かー。(なぜか復唱) …○○、好きですね」と。

「いつか書く機会があればどんなふうに書いてもらってもいいですよ」
とおっしゃっていただいたことも、今後の大きな励みになりました。
(恥ずかしいので忘れたころに書きます…)

それにしても不思議だったのは、
今回、ご厚意で引き合わせてくださった方は、
私を連れて行くことをなんと秘密にしていたのですが
鳥海さんは「文字の食卓の人じゃないかな」と直感的に思っていて、
本当にそうだった、とおっしゃっていました。
鳥海さんこそエスパーですね! 

うさぎday


千駄木のあめ細工屋さん「吉原」にて。

職人さんが目の前で好きな形につくってくれるのですが、

「真剣に本を読んでいるところ」というリクエストに

ばっちり応えてくれました☆



その後に行ったカフェでも

カプチーノにうさぎを描いてくれました

うさぎday!!




夜桜

ただいまサイトの中身をちょこちょこお直し中です。

(たぶん誰も気づかないようなところばかりなので気にしないでください笑)

もうしばらくちょこちょこします。



週明けの夜。

花見客でにぎわう江戸川公園を散歩しにいったら

椿山荘の桜がライトアップされていてとてもきれいでした。

時間が遅かったせいかあまり人もいなくて、

滝の音を聞きながらしばらくぼんやり。

癒されましたー




みにくいあひるの子

今年も花が咲きました、と、母が送ってくれた実家の椿の写真です。

この椿は、なんと、昔、庭に勝手に生えたもの。

(たぶん鳥が種を運んできたのでしょう)

小学生のころ、まだ小さな双葉が生えていたのを姉が発見し、

「このエリート感漂う葉っぱの感じは雑草だとは思えない。抜かないでおこう」

と育ててみたら、椿だったのです!

なので、これはいちおう姉のものということになっております。

いつの間にかこんなに大きくなりました。



言葉のラジオ

 「言葉のラジオ」荒川洋治(竹村出版)


キャラメルの文字」を読んでくださった方から、

メールで教えていただいた本です。

どうにかして、私がこの本を発見したことにならないか(←ひどい)

と、まじめに思ってしまったくらい素敵だったのでご紹介します。


詩人の荒川洋治さんが「日本語」や「ことば」をテーマに、

ラジオで話されたことをまとめたエッセイ集。


1996年発行の本ですが、

一冊まるごと「石井細明朝体縦組み用かな」で本文が組まれているのを私、

たぶん初めて見ました。


まさに「虫歯になりそう」! 

ああ幸せ。


ささいな、他人にはわからない小さな記憶に人生の真実がある。

はかないものこそ、かけがえのないもの

とか、

記憶も持ち物ではないかとぼくなどは思ってしまうのである。(中略)

言葉は道具である。でも言葉というものは、たとえそれが用済みになったとしても

ふつうのものとは少しちがう。

とか、あっと思わせられる文章が随所に散りばめられています。


列車に乗り合わせた女性が、細かく書き込んだ手帳を広げているのを見かけて、

「自分の仕事をふりかえっているのか、それとも、自分が書いた文字を眺めているのか」

と想像をめぐらせる「他人の文字」というエピソードや、

「食べ物以外のものを食べ物に例えてしまうのはなぜか」なんて、

私にとっては思わず苦笑してしまう考察も。


読んでいる間じゅうずっと、

この本のことを私に教えたいと思ってくださった気持ちが

贈りものみたいに伝わってきました。


その方は「石井細明朝体縦組み用かな」の印象について、

「大地に根をはったような安定感」と表現されていたのですが、

私もその感覚はすごくわかるような気がします。

土のなかの養分を吸収して大きくなる球根みたい。

冬の夜にぴったりの、栄養たっぷりの本です。




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